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2012.01.19 09:01

紙ヒコーキの旅
今日は何にもなくて昼過ぎからビールを飲んでいた

ベッドの上でだらだらするのにも限界が来て
5時から空くよと言った親友に電話をかけた

中学校の音楽室で歌った、シューベルトの鱒が流れる

タンタンタンタンタンターラン
タータータタララララーン

留守番電話につなぎます
合図の音がしましたら伝言をどうぞ

ピーーー…

なんだ、出ないのか

最後のアーモンドをかじる

残された紙きれを折り曲げて、放り投げた

紙ヒコーキは飛んでいった
四角い部屋の窓からひらひらと
世田谷通りを走るトラックを追い越し
多摩川の夕焼けを切り裂き

病室の窓側のベッドの上で一人ぼっちの
女の子の涙に滲んだ星空の下をまっすぐに

タンタンタンタンタンターラン
タータータタララララーン

風に乗って高く高く

それから紙ヒコーキは渡り鳥の背中に乗って南へ南へ

泡盛でいい気分になった石垣島のおじいが、ゆっくりと奏でる三線の音色の中で速度を落とし

さとうきび畑に落下

紙ヒコーキはただの紙きれに戻っていて
草を食んでいた子やぎに見つかった

めえめえめえめえ
めえめえめえめえ

ピーーー…

録音されたメッセージは以上です



めえめえめえめえ

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